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そして、パノラマが伝えたいこと。

 若者が社会的弱者となり、若いというだけでリスキーな時代であると指摘され久しく経ちました。若年者問題を挙げてみると、非正規雇用やワーキングプア、ニート・ひきこもり、若者の自殺や子どもの貧困、高校大学の中退及び進路未決定や奨学金問題など、数え上げたらきりがないほどです。

 この間、国は地域若者サポートステーションやジョブカフェ、新卒応援ハローワーク等の就労支援インフラを広げ、多くの若者の支援を行なっています。しかし、景気の低迷が恒常化する昨今、若者の問題に新たに「貧困」が加わり、若者の生きづらさはさらに複雑化し、支援機関等で何か一つの課題が解決しても、すぐに職に就き自立できるというわけにはいかなくなってきています。

 就労支援機関を利用する若者の平均年齢は20代後半から30代前半です。彼らの多くは長期の社会的ブランクを抱え、家族間の不和や自信の喪失、コミュニケーション・スキルの低下、抑うつ的な症状など、様々な生き辛さを抱えてしまっている方が多く、「複合的困難を抱えた若者」と呼ばれています。

 彼らへの支援には膨大な労力と時間、即ち非常に高いコストがかかり、国にも国民にも、そして何よりも若者本人に大きな負担がかかります。

 このコスト負担を抑えるために、支援を受けることで納税者に転換(回収)可能な、費用対効果の高い、困難度の軽い若者に支援を集中せざるを得ないというのが、現在の我が国の大きな流れとなっているように思います。この流れは、「複合的困難を抱えた若者」たちが支援を受けられない、あるいは就労色の強い支援に対する本人たちの抵抗感が支援機関から足を遠退けることになってしまい、結果的に制度の枠の外に出てしまっている現状があります。

 国が行なっているこれらの支援は、困難な状況に陥ってしまった人を対象とした「対処型支援」です。これは“雨漏りのする家”で例えると、雨を受け止めるバケツをどう増やし、その水をどう処理するかという支援です。このやり方ではすぐに限界が来るのが目に見えていますし、現に限界が来ているのが今だと思います。大事なことは雨漏りの穴を塞ぐことなのです。

 大人や社会に対する期待感を持った10代という年齢は、劇的な変化や成長が望めます。行政目線に立って言い換えるならば、対処型支援と比べ、予防型支援は低コストで大きなインパクトが得られ、将来に課題を先送りしない費用対効果の高い支援であるといえます。

 そこで、私たちパノラマは、若者と社会(雇用)の最初の接点となる高校生への就労支援に注力し、現在、毎年5万人以上いる進路未決定者の減少及び、同じく5万人以上いる中退者(特に学校に行きたいのに行けない生徒)の減少を、後述する校内での交流相談や、有給職業体験バイターンなどの「予防型支援」に取り組み、そのノウハウや経験値を、全国のNPO法人との共有財産とするネットワークを作り、横展開をすることをミッションにしたいと考えています。

 以下に、私たちがこのミッションを達成するのために取組む具体的な3つの手法や取り組みについてご説明致します。
 一つ目は、高校内での生徒との交流相談です。交流相談の特徴は、昼休みや放課後に、相談室という個室ではなく、学校図書館等、生徒の誰もが出入りできる場で、生徒とともにくつろいだ雰囲気の中で日常的な会話を通じて支援を行うものです。

 これは、生徒自身も気付いていない潜在的な課題(いわゆる漠然とした不安)を持つ生徒たちと自然な形で出会い、対話の中から課題を具体化・顕在化し、解決するとともに、校内外の支援の場に繋げることを目的としています。
 また、この交流相談事業に教員志望の大学生ボランティアを広く受入れることで、未来の教員の育成に貢献しつつ、学校とNPO法人の連携事業の発展に寄与することも目指します。

 二つ目に、私たちパノラマは、進学したくても世帯の経済状況により就職を選択せざる得ない生徒に対する就労支援に取り組みます。このような非積極的就職希望者は、就職を希望しつつも就労経験が一度もなく、面接等に強い不安を持つ生徒が多いのが特徴です。

 具体的な支援の仕組みとして、有給職業体験バイターンというものを提供します。これは、3日間の無給の職場体験(インターンシップ)を面接機会として捉え、このインターンシップ期間の働きぶりを採用の合否判断としてもらい、雇用契約を結び、最低賃金を保障したアルバイトへ移行し、アルバイト移行後も、学校とパノラマが生徒の自立のための支援を企業と連携して取り組み、更には適性の高い生徒は、そのまま就職をさせていただく仕組みです。

 この有給職業体験バイターンは、別法人(株式会社シェアするココロ)での実践がすでにあり、学校単独ではなし得ない、生活保護世帯の生徒の世帯分離の成功をはじめ、大きな成果を上げています。また、マスコミや同業のNPO法人、行政機関からも注目していただき、石井正宏(当法人理事長)は、全国で講演活動を行ない、顔の見えるネットワークを広く持つことができました。また、これまでの経験をネットワーク団体と共有することで、他の地域での導入に貢献していきたいと思います。

 そして三つ目は、これらの取り組みを、全国のNPO法人等が、バイターン及び交流相談の仕組みを地域に即した形で運営し、そこで得た経験値や成功事例、資金調達の知識や情報を共有財産とすることで、一人でも多くの若者たちの自立に貢献することを目的とした、社会的課題解決のためのミッションに紐付けられた共同体(以下ミッション共同体)を組織していきたいと思います。

 私たちパノラマはこの共同体の本部となり、参画団体であるNPO法人から会費をいただき、運営ノウハウの提供や、各種学校・行政向けの営業ツール等の提供、データベースの管理及び各法人間の知識共有やカンファレンスの機会を作り、ミッション共同体全体の支援力の底上げと、政策提言を行ない、最終的には有給職業体験バイターンや交流相談が制度化され、公立高校に当たり前にあるサービスとなることをミッションとして活動したいと思います。

 法人設立後は、バイターン及び交流相談事業の効果性、有効性、必要性をさらにアピールし、ミッション共同体への参画団体を増やせるよう広報し、行政とのパートナーシップ構築のための積極的な政策提言活動を行いつつ、市民の方々をパートナーとしたクラウドファンディングの活用等で広く資金調達を行い、活動で得たスキルやノウハウ等の知見を出版活動・講演活動、NPO法人等の人材育成事業を行いたいと思います。

 最後に、当法人名の「パノラマ」に込めた思いについて説明致します。「パノラマ」とは、既存のフレーム(枠組み)では収まり切れずに社会的弱者となるリスクの高い若者たちと、枠の外に追いやられ、枠の中に入ることができなくなってしまった若者たちが、みんなフレーム・インできるパノラマ写真のような社会を築き、誰もが活きいきと暮らせる社会になってほしいという願いを込めて名付けました。

 私たちの活動に共感していただける方は、是非、私たちとともに、若者たちの未来について考え、行動していきましょう。