※詳細情報は投稿の最後にあります!
はじめに
最近、ある本でトール・ノーレットランダーシュという科学評論家が提唱している「外情報(exformation)」という概念を知りました。 例えば、誰かにメールを書くとき、私たちは頭で思っていることを一字一句文章化するのではなく、書きたいことを順序立て、言葉を取捨選択し、語句を切り詰めて書いていきます。
そうしてできたものが「情報(information)」だそうです。
そして、書かずに切り捨てられた部分が、「外情報(exformation)」ということになるらしいのです。
面白いのは、「情報」よりも「外情報」のほうが実は重要であり価値があるというお話でした。
私はこの概念を知り、すごく納得感がありました。
そして、パノラマはいろいろな取材を受けて記事になってはいるけれど、いつも何かが足りないと感じる、その「何か」とは、それが「情報」になり過ぎていて、外情報が大幅に切り捨てられているからではないか、ということに気がつきました(だって1時間も電話で話して100文字足らずのコメントにしかならないのですから!)。
私は、ずっとこのことに不満を持っていたのですが、その解決策を、パノラマにヒアリングに来た大学院生が作った逐語録を添削しながら思いつきました。
「これをこのまま出した方がどんな記事よりも価値がある」と。
今思えば、そこには外情報が溢れていたのです。
そのインタビューでは、マニアックな居場所論が展開されつつ、正直、そんなこと考えたことなかったという質問もあり、引き出しを開けてもらったような、新鮮な感覚が残りました。
同時に、ヒアリンガーたち(そんな言葉があるかは知りませんが)は、意味や意図を求め過ぎではないかとも思いました。
実践の中から生まれた偶然的必然の、必然にばかりをフォーカスしてしまい、偶然が生まれ落ちる実践者たちの日々の営みに、もっと私はフォーカスしてもらいたいと思っています。
私の吐き出す言葉も、日々のスタッフたちとの語り合いから生まれていると言っても過言ではなく、その語り合いにこそ意味があるのです。
さて、そのマニアックな居場所論の前段に、支援に携わることのない、一般の方々にも理解していただけるパートを加筆したり、ヒアリングでは訊かれず、取材では記事にならない大切な「外情報」を書き加えたのが、この『そんなことを訊かれても』です。
書きながら、制約のほとんどない自社コンテンツ化の可能性をひしひしと感じ、表紙作りなどでは、チョキチョキとハサミを使い、とても楽しく取り組ませていただきました。
このアイデア誕生のきっかけを作ってくれた、武蔵大学大学院の池原景太さんと、パノラマの活動をいつも応援して下さり、今回の企画にもご協力いただいた来栖香さんに、心より感謝を申し上げます。
NPO法人パノラマ 代表理事 石井正宏
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「そんなことを訊かれても」はこちらからご覧になれます!
★第0話「カフェが始まる前は何してた?」~公開記念無料版~
https://note.com/npopanorama/n/nc45e7a5b2c6b
★第1話「このままでは相談室にぶちこまれる!」
https://note.com/npopanorama/n/nbd124b1f9bf1
なお、「そんなことを訊かれても」は、第1話以降300円(寄付付き価格)で販売させていただき、収益は校内居場所カフェ事業にかかる運営費に充てさせていただきます。 楽しみながら、応援いただけますと幸いです!
(2021年02月03日)
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