特にいじめなどがあったわけではないが不登校となり、発達障害の診断も出てそのまま引きこもり、30代となった未就労の若者。
バイト経験もあるが、接客で様々に同時に気を配ることや作業をすることがこなせず、混乱して続かなかった。その後、他の業種の面接を受けるも、何度か落ちてしまって自信を失っていた。
支援機関の居場所では仲間と楽しそうに過ごすことができ馴染んできたことから、バイトの面接練習をスタッフと行い、再び仕事探しも始めたが、徐々に表情が硬くなり、どうしても応募の電話ができないまま一か月以上が経過した。以前の面接での失敗経験が大きくのしかかり、苦手意識から動けなくなったとのことであった。
そこで居場所での清掃ボランティアや事務作業の有償ボランティア等を幾つか経験してもらい、徐々に「やれた感」を積み上げていく慣らし期間を経て、バイターンに進んだ。当初は極度の緊張が見られ、手の震えや受け答えに硬さはありつつも、業務自体は非常にまじめにきちんとこなし、企業の社長さんからの評価も高かった。
本人も徐々に自信を身に付け、「自分には、もう障害者雇用しか道が残されていないと思い込んでいたが、他の選択肢もあるかもしれないと思えた。」という言葉も出て、現在もその企業でアルバイトを継続し、貴重な外出の機会となって、生活リズムも整ってきた。